北朝鮮が韓国を狙い撃ちにして
仕掛けた"揺さぶり作戦"

 このまま行けば、早晩、北朝鮮経済は立ちゆかなくなることは目に見えている。そうした状況を打破しようとした"揺さぶり作戦"が「新年の辞」であり、国際社会の結束の中で最も揺らいでいて"軟弱"な韓国を狙い撃ちしたものなのだ。対話を進めることで時間を稼ぎ、あわよくば北朝鮮に対する国際的な包囲網を打ち破ろうという思惑があったものと見られる。

 こうしたタイミングで、北朝鮮は初めて「文在寅大統領」と呼び、中断していた南北間の通話ルートを再開させた。ただ、米国からの報道によれば、近日中に再度、弾道ミサイルを発射する兆候もあるようで、韓国を盾に核ミサイル開発を続けるつもりなのかもしれない。

 実は、今回の「新年の辞」のような揺さぶり作戦は、2014年に開催された仁川アジア大会の際にも行われた。

 大会の閉会式に、当時、北朝鮮の「実力者3人組」だった黄炳瑞(ファン・ビョンソ)人民軍総政治局長、崔龍海(チェ・リョンヘ)労働党書記、金養建(キム・ヤンゴン)党統一戦線部長を突然派遣。韓国では、金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長や柳吉在(ユ・ギルジェ)統一部長官などか空港に出迎え、南北対話に対する期待が一気に高まった。実際、南北間の超高官級接触の再開にも合意していた。

 しかし、一行の訪問直後、北朝鮮は西海(黄海)北方境界線(NLL)での交戦や、非武装地帯(DMZ)でビラ射撃を行った。そしてその後、韓国の民間団体のビラ散布を問題視して高官級接触を一方的に白紙に戻したという過去があるのだ。

 そうした北朝鮮の今回の提案は、あくまでも核保有を前提としたものであって、日米などにとっては受け入れられないもの。そればかりか、北朝鮮は米韓合同軍事演習の中止まで要求している。

 これに対し韓国は、北朝鮮の非核化こそ求めているものの、それを対話の入り口とはしていない。また、米韓合同演習については、米国に対しオリンピック期間中を避けることを提案、米国はこれを検討中であると公表した。こうした韓国の姿勢が、北朝鮮に利用されたのである。

 しかし、米国のティラーソン国務長官は、そうした事実は承知していないと語っており、マティス国防長官も演習を中止する考えはないと述べている。米国は、北朝鮮の脅威に備えるためには合同演習が不可欠だとの立場であり、北朝鮮の要求は到底のめるものではないのだから当然だ。

 つまり、北朝鮮は姑息な手段で延命を図ろうとし、韓国がそれに乗ってしまったという構図。文政権には本当に困ったものである。