先日、NECがパソコンの値上げを検討するという報道があった。原燃料価格高騰のあおりを受け、さまざまな商品が値上がりしているにもかかわらず、低価格競争に陥っているパソコンは、これまで大幅な値下がりを続けてきた。メーカー各社は、さぞかし苦しいことだろう。

海外のパソコン販売店では、パソコンが驚異的な安さで売られている。日本製品はまだまだ高い。

 だが、事情はそう単純ではない。僕は8月にシンガポールと米国に出張した。それぞれの国でパソコン販売店をウォッチした結果、見えてきた「価格」のトレンドをご報告しよう。

 一言で言えば、日本のパソコンは現時点でも高すぎる。日本のパソコンは、店頭モデルで10~12万円程度の価格帯がまともに使える下限のクラスだ。つまり、台数的に最も売れているボリュームゾーンである。

 ところが、シンガポールと米国で量販店を覗いて驚いた。中心となる価格帯は、日本円で6~8万円程度なのである。

 両国には日本のような高価なテレビパソコンが存在しないので、平均価格はとても低く感じる。10万円を超えるノートパソコンは1割程度に留まっている。やや高性能なデスクトップは、10万円を超える液晶付属モデルが目立つとはいえ、こちらも液晶の付いていない機種は、想像を絶するほど安い。

驚異的に安い現地のパソコン
17型液晶付きが800ドル以下!

 米国の知人が入手してくれた、新聞の折り込みチラシから、現地の実勢価格をご紹介しよう。具体的な店舗名は控えるが、どちらも超大手量販店のノートパソコンの価格だ。

・コンパック 15.4型液晶 DUAL-CORE T2390 2GBメモリー 429ドル
・HP 17型液晶 AMD Turion 64×2 3GBメモリー 649ドル

 もはや「驚異的」としかいいようがない。後者は、なんと17型液晶である。だが、「DV9910US」という型番で検索してみれば、この価格にうなずいてしまうだろう。多くの量販店が、800ドル程度で販売しており、649ドルも“並のバーゲン価格”でしかないのだ。