2011年は東日本大震災、円高、ユーロ危機、タイの大洪水と、日本にとっては内外ともに災厄多き年だった。12年はそれ以上に不確実性、不安定性が高まる年となりそうだ、何しろ世界は政治の季節に突入する。1月の台湾総統選に始まり、露、仏、米、韓では大統領選、中国でも政権交代が行われる。北朝鮮情勢も不安材料だ。そうした状況下、12年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々に、アンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。 

欧州財政危機は泥沼化<br />グローバル化の潮流は後退・停滞へ<br />――日本総合研究所 山田 久調査部長やまだ ひさし 1987年京都大学経済学部卒業(2003年法政大学大学院修士課程(経済学)修了)。同年 住友銀行(現三井住友銀行)入行、91年日本経済研究センター出向、93年より 日本総合研究所調査部出向、98年同主任研究員、03年経済研究センター所長、05年マクロ経済研究センター所長、07年主席研究員、11年7月より現職。

①欧州財政危機が泥沼化

 ソブリン不安を背景とする金利上昇・高止まり局面に突入した欧州は、財政緊縮と景気悪化の悪循環に。財政再建に甘さが見える周辺諸国と財政規律を重視する中核諸国の確執が容易に解消されないなか、対応策が後手後手に回り続け、景気後退が長期化。

 欧州金融機関の資産圧縮の動きが強まり、域内のみならず東欧など域外の経済にとってもマイナス影響を与えることに。もっとも、無秩序なデフォルト回避に向けた当局の意思は固く、リーマン・ショックの再来は回避。