親から受験生へ、すぐできるセンター試験本番において100%の力を発揮するための方法を試験本番まで紹介していきます!今回は、長時間の試験を高い集中力をキープしたままやり抜く方法です。
本連載では、脳の仕組みを活用した世界水準の集中力を磨く技術が網羅されている新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』から集中術のエッセンスを紹介していきます。
塾で実践し、効果のあった集中が続く方法
私が出場している記憶競技の種目には、トータルで3時間ものあいだ、高い集中力を要求される競技があります。脳しか使わない競技ですので、その消耗度はかなりのものになりますが、毎回その条件で競技をしてきました。
私の長時間集中力の秘訣は、これまで紹介してきたトレーニングによるところも大きいのですが、それに加えてある時間管理術を使うことでさらに効果を上げています。
その時間管理術のもとになっているのが、心理現象である「初頭努力・終末努力」です。
これは何かの作業や課題を長い時間行ったときに、全体を通してみるとやる気のピークが最初と終わりの時間帯になることを表している言葉です。
一般的に、一番高いレベルの集中力を持続できる時間は、15分から長くても60分といったところではないでしょうか。作業や課題に要する時間がこれを超えてしまうと最初と最後以外の途中の時間では、集中力が落ち、気を抜くとパフォーマンスが下がることになります。
このことはこの心理現象の存在を知識として知る以前から、実感していたことでした。
その頃、長時間の競技の対策を立てなければならないと考えていたのですが、そんなときに思わぬところからヒントを得ました。
それは塾での計算問題の演習でした。
制限時間を30分としていたのですが、終了までの時間を知らせたほうが最後の集中力が高まるのはわかっていました。なので、20分たったら「残り10分」「残り5分」と声掛けして終了を意識させるようにしていました。
それをあるとき、時間を「10分×3回」というように分けて行うことにしてみたのです。同じように残り時間を意識させるようにと声掛けしたのですが、1回10分なのでスタートするとすぐに「残り5分」がやってきます。そしてそれを3回繰り返したのでした。
結果は時間がトータルでは同じ30分にもかかわらず、問題をこなした量、正答率とも10分×3回のほうが高かったのです。つまり、時間を分けたほうの集中力が高かったことを示しています。
この結果が長時間集中を持続させるヒントになりました。
1つの長時間の課題と考えず、いくつかの時間に分ければ、「初頭努力・終末努力」の恩恵が増えるということです。
これを知っているか知らないかでパフォーマンスに差が出ます。やることはいたって簡単です。トータルの時間を自分でいくつかに分けるだけです。
たとえば、1時間の課題であれば、20分×3や30分×2、というように。
大事なのは、最初に決めた区切りの時間で、いったん必ずやめる意識を持つことです。すると、リフレッシュされて、集中が続くのです。