前回に引き続き、親から受験生へ、すぐできるセンター試験本番において100%の力を発揮するための方法を試験本番まで紹介していきます!今回は、負のスパイラルをスパッと断ち切る方法です。
本連載では、脳の仕組みを活用した世界水準の集中力を磨く技術が網羅されている新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』から集中術のエッセンスを紹介していきます。
すぐに気持ちをリセットできる効果的な方法
仕事やスポーツなどで直前のミスのショックが頭に残っていて、上司や監督の次の支持をうわの空で聞いてしまい、結局またミスをしてしまう。まさに悪循環です。
私自身も前の種目でのミスを悔やむ気持ちが無意識のうちに頭の隅に残っていて、次の競技に入ってからも自分では集中しているつもりが、気がつかないミスを重ねてしまうことが何度かありました。
脳の機能の中に「ワーキングメモリ」というものがあります。
「メモリ」と付くぐらいなので記憶に関する機能なのですが、ただ記憶するだけでなくほかにも大事な働きをしています。ワーキングメモリは別のことを同時にしながら、情報を脳にとどめておく能力があるのです。
たとえば、数字の計算を暗算で行うときに計算途中の数をキープしておけるのはこの機能によります。
脳の中のメモ帳のような機能と考えればわかりやすいかもしれません。
しかし、このワーキングメモリの容量はあまり大きくありません。
しかもワーキングメモリは緊張や不安といったネガティブな感情にひどく敏感で影響されやすい性質を持っているのです。何かをするときに不安や緊張が生じてくると、すぐにメモ帳はそのことでいっぱいになってしまうのです。この状態が俗に言う「頭が真っ白」な状態です。
これを防ぐために、各分野の一流の人たちは自分なりの「気持ちの切り替え」ルールを持っています。メモ帳がいっぱいになってもリセットして、新たな課題に集中することができるのです。
そのために利用するのが、五感を通して感じる体の感覚です。
体の感覚から刺激をもらうことによって、気持ちがリセットできるのです。
たとえば、料理を味わって食べたり、お風呂に入ったり、スポーツをしたり、歩き回ったりといった体の感覚に意識が向く行動がリセットするのに適しています。
さらに、すぐに気持ちをリセットできる効果的な方法があります。
それが「不安や心配事を紙に書く」という方法です。
シカゴ大学の心理学者シアン・バイロックが行った研究によると、プレッシャーを解消するための有効な手段が「紙に不安要素をすべて書き出す」ことなのです。
プレゼンであれば「緊張で声が出なかったらどうしよう」とか、試験であれば「試験中に度忘れしたらどうしよう」といった感じです。
とにかくほんの些細なことでも不安要素があれば、すべて書き出します。
マイナス要素を実際に紙に書き出すことによって頭の中から消去し、ワーキングメモリのメモ帳を白紙の状態に戻せるのです。
不安や心配は目には見えないため、不安要素が膨大な数、存在しているかのような錯覚を起こしてしまうのです。
実際に紙に不安要素を書き出して現実の文字として見てみると、その数は膨大ではなく数えられる程度のものだ、ということが認識できます。
自分が抱えている不安の全体像を把握できた安心感から、負のスパイラルを断ち切りワーキングメモリをリセットすることができるのです。