北朝鮮の誘いに
上手く乗せられた韓国

 見方を変えれば、文政権は南北共同参加での五輪開催を実現するために、北朝鮮の誘いに乗ってしまったといえるだろう。昨年12月ごろから、韓国は、米国に、五輪期間中に実施予定だった米韓の春季軍事演習を、3月18日のパラリンピック閉幕後に行うよう要請したとみられる。さまざまな理由が考えられる中、北朝鮮の参加を取り付けるために韓国が米国に演習の延期を要請したと考えられることは見逃せない。

 本来、韓国はオリンピックと安全保障を分けて考えるべきだった。長期にわたって安全保障問題は社会の安定に影響するからだ。核開発を進める北朝鮮に譲歩することは国家安定のリスクに直結しかねない。

 しかし、文大統領は融和政策の早急な効果を求めるあまり、必要以上にオリンピックへの北朝鮮参加を重視した。北朝鮮に譲歩して軍事演習を延期しても、北朝鮮の態度は変わらない。韓国の政治家は、さらなるリスクを国民に背負わせているといっても過言ではない。

 さらに、南北協議後には通常では考えられないことが明らかになった。韓国政府が、北朝鮮への制裁を一時的に解除することを検討すると発表したのである。そうした安易な姿勢を示すことは、北朝鮮がさらなる要求を突き付けて韓国と米国の分断工作を図るなど、朝鮮半島情勢の不安定感を高めることにつながる恐れがある。

 それは、国際社会にも無視できない影響を与えるはずだ。文政権の政策の危うさは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の北朝鮮融和政策・反米路線の失敗からも確認できる。

 今回の協議の結果、北朝鮮は核問題を韓国と交渉する意思を持っていないことが明確になった。文大統領の融和政策は、中長期的な朝鮮半島情勢の安定にはつながらない。北朝鮮の核開発を巡る国際的な議論の歴史を振り返ると、米中を中心に国際社会が制裁を強化し、多国間協議を通して北朝鮮の軍事挑発を抑制してきた。

 韓国の政策は一時的な融和ムードを高めはするかもしれないが、問題を解決することにはならない。韓国の世論が現実的な発想を身につけることのほうが、朝鮮半島の安定には重要だ。