熊本県が見習ったのは
ディズニーのブランド戦略

 なんてことを言うと、「だったら、なおさら海外企業などに使わせず、県内の製造業に利権をガッツリあげればいいじゃないか」と思うかもしれないが、そこがキャラクタービジネスの難しいところで、固く扉を閉ざせば、価値が守れるというのもでない。

 それが2つ目の理由である「ブランド保護」だ。

 中国のニセ大江戸温泉に「くまモン」そっくりのキャラクターがいたことからもわかるように、中華圏では「ニセくまモン」が溢れていて、摘発しても次から次へと出てくるというイタチごっこが続いている。

 このように悪貨が良貨を駆逐する状況が続けば、「くまモン」のブランド価値は大きく毀損される。そこで、よく用いられるのが「市場を開放することによる価値の維持」だ。

 たとえば、ミッキーマウスの意匠はディズニー関連企業のみしか使えない、ということだったら世界中に劣悪な「ニセミッキー」があふれて、今のようにもてはやされてはいない。使用料を払うなどの条件を満たせば、誰でも使えるということにしたおかげで、やりたい放題のブラックマーケットではなく、オフィシャルなミッキーマウスを用いた、オフィシャルなマーケットが形成された結果、ブランドが損なわれることなく世界に広まったのである。

 それでももちろん、「ニセミッキー」は市場から完璧に駆逐できない。が、オフィシャルミッキーが溢れて多数派になることで、「ニセミッキー」の影響力を矮小化させて、キャラクターの「価値」をキープしているのだ。

 熊本県が、このようなブランド戦略を意識して「海外解禁」に踏み切ったというのは、蒲島郁夫知事の「くまモンをミッキーマウスのような存在にしたい」(朝日新聞2018年1月16日 朝日新聞 西部版)という言葉からも明らかだ。