そもそも、交渉に当たって国内の意見を取りまとめる責任は韓国側にあり、それが不十分なものであっても国際的な合意は忠実に履行する義務がある。しかし、文政権の今回の新方針は論理のすげ替えであり、全く論理矛盾している。

 文政権は、「元慰安婦の意見が反映されていない」と言うが、実際には合意当時に生存していた元慰安婦の7割がこの合意を受け入れている。当事者の7割が受け入れている合意が、「元慰安婦の意見が反映されていない」というのはどう考えても無理がある。

 要するに、文在寅大統領を支持した、「韓国挺身隊問題対策協議会(以下、挺対協)」のような、左翼系の政治団体の意見が反映されていないということである。

(注)韓国の主要紙、朝鮮日報によれば、合意時の生存者47人のうち36人は一人当たり1億ウォン(約1000万円)、死亡者199人の遺族の内68人は一人当たり2000万ウォン(約200万円)を受け取ったり、受け取る意向を示したりしている。

慰安婦問題をこじらせてきた
支援団体名乗る挺対協が元凶

 挺対協は、自らを慰安婦支援団体としているが、実際には過激な政治団体である。アジア女性基金が活動していた頃、同基金から“償い金”を受け取った韓国人の元慰安婦に対して、その後支給された韓国政府からの見舞金を受け取らせなかったばかりか、日本の基金から金を受け取るのは、自ら「売春婦」であったことを認める行為であると非難した(河野談話作成過程等に関する検討チーム報告より)。

 筆者が支援団体であれば、そのような金は日本に返せと言い、韓国政府の見舞金を渡したであろう。まして、元慰安婦が最も傷つく「売春婦」と認める行為だとは、どういう顔をして言い放ったのであろう。筆者が挺対協を「政治団体」というのはこのためである。