応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。
英語は「自信のある子」を育てる
小学生くらいになったら、英語力をスキルとして磨くことで、「ぼくは英語ができるんだ」「わたしは英語が得意なんだ」という自信を育てていくことが何よりも大切になります。
この自信を与えられるかどうかこそが、子育ての核心です。野球のバッティングを例に考えてみましょう。
(1)「自分はバッティングが苦手だ」と認識する
(2)バッティングの改善に必要な行動を自ら取る
(3)実際の試合でバッティングにより結果を残す
人はこのようなプロセスを経て、自信を手に入れていきます。なぜこれが大切かといえば、このプロセスを繰り返すことで、「自分は必要な行動を自らとって、自分を高めることができる!」という認知が強化されるからです。「自分で自分の人生をよくできる」という手応えと言えばいいでしょうか。これを心理学の世界では自己効力感(Self-efficacy)と言います。自己効力感は学習を続けるモティベーションの源泉になります。
学習者のモティベーションをどのように維持するかは、SLAの世界でも以前から盛んに研究されています。そこでヒントになるのが、認知心理学などの分野で発達してきた自己決定理論(Self-determination Theory)です(Ryan & Deci, 2000; Noels et al.,2000)。
それによれば、人間の内的な動機づけを高めるためには、「自分にはできるという実感があるか(Competency)」「自分の学習に意思選択があるか(Autonomy)」「学習環境との関係が適切か(Relatedness)」の3要素が欠かせません。
ここからもわかるとおり、子ども自身が「自力で英語力を高めていけるぞ!」という実感を持つことは、やる気を保つうえでも非常に重要なのです。
「適切な方法で継続すれば、どんな子でもしっかり結果が手に入る」という点で、英語は自己効力感を育むうえでもうってつけです。お母さん・お父さんは、ぜひその点も意識していただければと思います。