応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつある。本連載では、発売直後から立て続けに増刷が決まった元イェール大学助教授・斉藤淳氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語』から一部抜粋して、「世界のどこでも生きていける頭のよさ」を育てるための英習メソッドを紹介する。
音に「文字」で輪郭を与えていく時期
小学校への入学を控えた時期になると、日本語でのコミュニケーションはひととおりできるようになります。
大人がびっくりするような記憶力を発揮する子もおり、男の子であれば駅名や昆虫、恐竜の名前を諳んじたり、女の子であればアニメのキャラクターになりきってみたりと、成長を実感する場面がいっそう増えてきます。
音による学びを主軸に据えることは変わりませんが、文字への関心が高まってくるこのあたりから、「読む」「書く」の技能にも徐々に注目していくことをおすすめします。これを読み書き能力に基づいたアプローチ(Literacy Based Approach)といいます。
文字を覚えることで、それまで音と絵だけで捉えていた世界の見方がちょっとずつ変わります。目の前のリンゴは、[apple]という音や、赤くて丸い果実の映像としてだけでなく、「apple」としても記号的に表せることに気づくのです。
あくまでも「図形」のように楽しむ
書き順はもちろんですが、きれいに書くことにもこだわる必要はありません。未就学児では筆圧が安定していない子も多く、まだ思いどおりに線が引けないことがあるからです。モータースキル(運動技能)の発達を見ながら、焦らずに慣らしていくことを大原則にしましょう。
この際、お絵描きの延長線上にあるようなイメージで、アルファベットや単語の書き取りを楽しめる雰囲気づくりを心がけましょう。
いきなり「お勉強」をさせるというよりは、まずは白い紙にクレヨンなどで大きく文字を書いてみるところからはじめてみてください。