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KEY PERSON interview

CFOがCIOを兼ねる東京ガス
「ITは付加価値を上げるもの。コスト削減で捉えるのはCFOの視点で見ても間違い」

【第8回】 2012年1月19日
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 また震災の後、みずほ銀行では、義援金振り込みが集中したことがきっかけで、夜間のバッチ処理が滞り、大規模なシステムトラブルが発生しました。これを見て、「うちは大丈夫だろうか」と危機感を感じました。

 東京ガスでは毎日、ガス料金の計算を行うために、1日50万件の大量データをバッチ処理しています。当日のデータを翌日朝7時までに、実質4時間程度のアロワンス時間で処理していますが、これが止まると大変な影響が出ます。

 みずほ銀行の事例を見て、大量バッチ処理の怖さを感じました。将来はバッチ処理から脱却し、リアルタイムの処理に変えなくてはならないと思いますが、かなり大きなコストもかかるでしょうし、簡単なことではありません。大きな課題です。

――こうしたITに関する投資は、どのように行うべきだとお考えですか?

 まず、コスト削減のためにITを活用するという考え方は、CFOの視点から見ても間違っていると思います。部門のコストは多少下がるかもしれませんが、むしろITに対するコストのほうがかかってしまう気がします。また、もし大幅に下がったとしても、それはITを使わなくても下がっていたコストである可能性が高いのではないでしょうか。ITは、コスト削減ではなく、付加価値を生むために行うものです。

 一方で、IT投資そのもののコスト削減は継続して行うべきです。現在、当社のITコストは年間100億円前後です。お客様の数が増えればその分増えますし、既存システムのリプレースも発生します。これから投資は増やさざるをえないでしょう。

 ただ、既存システムのリプレースは付加価値を生みませんから、できるだけ抑えたい。リプレースで抑えた分を新規の開発にまわすことで、今後も年間平均100億円程度に抑えたいですね。

――新規の投資についてはいかがでしょうか?

 新規の開発についても、ユーザー側(システムを利用する部門)が本当に必要としている要件に絞っているかどうか、厳しく見るようにしています。ユーザー側から言われたままに作る必要はありません。かなり厳しく要件を吟味し、最近ではユーザーから上がった要件の規模は2、3割絞れるようになってきています。

 実は当社では6年ほど前に、システムの新規開発で大失敗をして、51億円もの特別損失を計上したことがあります。コールセンターの電話受付内容を管理するシステムと、協力会社の機器販売、修理などの業務を支援するシステムを統合する予定だったのが、スケジュールが大幅に遅れたうえ、完成しても正常に稼動しないことがわかり、開発を中止しました。大きな原因は、プロセス管理ができていなかったことにありました。

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