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ダイバーシティのさらに先へ
――Salesforce.comはなぜイクオリティをプッシュするのか

末岡洋子
【第167回】 2018年2月8日
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Dreamforceで配ったバッチ。“私の代名詞は…”の後に、自分が呼ばれたい代名詞のシールを貼る。男として扱ってほしいなら、「He/Him」を選ぶ。このほか、「She/Her」「They/Them」「Ask Me」がある

 Proudly Meと同時にProphet氏が行ったのが、自分の性の代名詞の共有だ。He、Sheなど言葉の中で性をはっきり区別することが多い英語では、先入観から“彼”“彼女”などと呼ばれて嫌な思いをすることがある。そこで同社ではSNS「Chatter」のプロフィールページで、呼ばれたい代名詞を表示できるようにした。Dreamforceでは、参加者が自分が呼ばれたい性の代名詞を表示できるバッチを配った。

 「非難されることを恐れ、これまで自分のアイデンティティをオープンにできなかった人が、自発的に言えるようになった。本当の自分の姿を堂々と、安心して見せられるようになってきた」とProphet氏は効果を説明する。また、従業員が自発的に作るグループOhana Groupへの参加が増えたことも嬉しい収穫だったと言う。Ohana Groupは体に障害がある人の理解を進めるAbilityforce、黒人のリーダーシップ開発BOLDforceなど10種類があり、それぞれコミュニティが感じていることを知ってもらい、共感を持ってもらう。そして擁護し、主張する人になるというのが狙いだ。

 Ohana Groupは単に問題意識を持つ人が集まるだけでなく、幹部がエグゼクティブスポンサーとして関わるという仕掛けを持つ。幹部は主としてグループの活動を促進し、必要に応じてグループを代表して発信する。学習プラットフォームのTrailheadを使って拡張し、少しつづ会社のカルチャーを変えていく、というのが流れだ。Trailheadには2016年よりイクオリティモジュールを用意しているという。社員はTrailheadにアクセスして、イクオリティに関連したことを知り、学ぶことができる。

 例えば2017年、LGBTQの理解を進める新しいOhana GroupとしてOutforceが立ち上がったが、エグゼクティブスポンサーになったのはセールスフォース・ドットコムの代表取締役会長兼社長、小出伸一氏だ。小出氏はセールスフォース・ドットコムを率いるのに加え、社内でLGBTQであることを明かせない人を奨励したり、Trailheadで取り組みを拡張すると言う役割を持つことになる。

 Ohana Groupを活性化するOhana Festという一連のイベントも用意する。チームが世界中を旅行して、Ohana Groupを紹介して世界中の幹部に関与を呼びかけ、従業員に活気を感じてもらうという。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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