そして、「自立支援」の目玉として投入されたのはデイサービスでの「成功報酬」の導入である。一昨年の安倍首相の「介護のパラダイム転換を目指す」という発言に端を発して、大きな話題を集めてきた(詳細は連載の90回を参照)。

「1500ccの水分、1500キロカロリーの栄養、おむつ外し、運動」の4要素を強調する「自立支援介護」論者たちの言動を内閣府や経産省が吸い上げて、政権の施策に盛り込んできた。要介護度の改善に応じた加算を要求する自治体の声も高まった。だが、厚労省は要介護度による加算案は退け、バーセルインデックスという評価手法を取り入れた。それも、デイサービスだけに限定し、「ADL維持加算」と命名した。

 バーセルインデックスとは、自力でトイレや食事、歩行などができると15点で、手助けが必要なら10点と計算し、100点満点にどれだけ近づくかで評価する方式。評価活動は10項目に及ぶ。

 点数から改善者と悪化者を見極め、改善した利用者が悪化した利用者より多ければ「成功報酬」として加算を設けた。日常生活の活動がどのくらいできるかを判定するもので、この日常生活動作をADL(activities of daily living)という。

 その加算額だが、一人当たりわずか30円にとどめた。6ヵ月間の評価期間を過ぎてさらに1年間のバーセルインデックス評価を実施しても2倍の60円にしか増えない。

 そしてかなり限定的な条件を付けた。対象利用者が20人以上であることと、その15%が要介護3以上の中重度者でなければならないとした。

「自立支援介護」を主張する政権からの声を一応受けとめて制度に導入したが、加算取得の条件を厳しくしたうえ加算額も相当抑え込んだ。「自立支援介護」への政治的判断、難しい立ち位置がうかがえる。

「バーセルインデックスの取り組みに手間がかかる割に、他の加算に比べ、報酬が少ないのでは」という問いかけにも、厚労省は「バーセルインデックスは最初だけ手数がかかるが後は簡単です。加算の報酬は適切です」と表向きの答えをせざるを得ない。