ビットコインはバブル?

 ICOのみならず仮想通貨をめぐっては、「バブルではないのか」と聞かれることが増えた。とりわけ、仮想通貨の代表格であるビットコインへの盛り上がりはわれわれを驚かせた。

 ビットコインの価格は2017年1月からの1年で20倍近くに値上がりした(下図参照)。ここで取引されるバーチャルなコインはもともと実態のないものだ。仮想通貨というだけあって、「通貨」としての役割に期待が集まったが、実態は投機の対象となってしまった。

 18年にはビットコインの価格が調整局面に入るという見方が私の周りのVCでは一般的だ。それでも、「ビットコインのバブルがはじける前に利益を得たい」と、登録に殺到する一般人の姿が米国や日本を含め世界中で見受けられる。

 この様子から、2000年にはじけたドットコムバブルの時代に、スタートアップへの投資が過熱したころを思い出す。

 バブル崩壊1年前に、元朝日新聞社主筆の船橋洋一氏の取材を受けた。題して「こんなこといつまで続く─シリコンバレー・ブルース」だ。

 船橋氏はコラムの中で「億万長者が次から次へと家を買い上げ、ストックオプションで潤う管理職が次のクラスの家を物色する。不動産価格はうなぎのぼりである。やっぱりおかしい。クレージー」だと指摘する。

 このコラムは私のコメントでこう締めくくられている。

「こんなこと長くは続かないと、みんな知っているんです。だから、今のうち、これに乗り遅れるなと、すさまじい熱気になっているのです」。

 20年近く前の記事が現代にタイムスリップしたかのようだ。

 ビットコインがバブルだとしても、それで仮想通貨そのものが終わりかというとそんなことはない。仮想通貨は一説によると1500くらいの新種があるらしい。投機目的で手垢にまみれたビットコインの世界を、新たな技術プラットホームで立て直そうという動きが活発化しているのだ。

 例えば、イーサリアムだ。ビットコインを支えるブロックチェーン技術を使い、より安全で応用範囲の広いプラットホームを提供している。仮想通貨としてのシリコンバレーでの信用度はビットコインより高い。

 このような新しい仮想通貨が今後「通貨」としてどう普及していくかは分からない。しかし、マイレージや購買ポイントなどは、幅広く価値交換されるために仮想通貨に取り込まれていくのではないか。また、銀行口座を持っていない人が多数いる発展途上国では、分散型でセキュリティーが高い仮想通貨に大きな期待が掛かっている。

 つまり、仮想通貨を支えるブロックチェーンの技術は、大きな可能性を秘めているのだ。少々乱暴だが、まとめるとICOは詐欺、ビットコインはバブル、ブロックチェーンはイノベーション、といえるのだ。