先手を打つ競合機

 もっとも、三菱航空機側にとってイースタン航空のキャンセルはさほどサプライズではなかったようだ。「2012年に発足したイースタン航空は、設立時の資本金が少なく、実はどこまで安定操業できるか契約締結時から心配していた」(三菱航空機関係者)からだ。

 むしろ、頭痛の種はもっと別のところにある。米航空会社のスカイウェストとトランス・ステーツ・ホールディングスから受注している300機の行方だ。このうち半数は予備受注で、「ブラジル・エンブラエルと両てんびんにかけられている」(三菱重工幹部)のが実情だ。

 また、米国における大手航空会社とパイロット組合の労使協定に盛り込まれた条項「スコープクローズ」も不安要素となっている。

 リージョナルジェット航空会社は大手航空会社の委託運航を行うことも多いため、リージョナルジェットには大手航空会社のパイロットの職を奪わぬよう、座席数や重量に制限が設けられているのだ。

 これが思った以上に緩和されていない。このままでは、「MRJ90」は米国での運航が難しくなる。

 MRJ90の最大のライバル機「E175-E2」を開発中のエンブラエルも同様の悩みを抱えるが、同社はここにきて、「座席数を縮小して折り合いをつける方向で、パイロット組合と交渉を始めている」(前出の三菱重工幹部)。

 三菱航空機はいざとなれば座席数が少なく、重量も軽い「MRJ70」への切り替えが可能だが、それもこれも、遅れに遅れている開発にめどが付いてからの話だ。

 三菱航空機は開発力のみならず、状況を好転させる政治力も求められている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)