ダイヤモンド社刊
2310円(税込)

「先進国については、そしておそらく世界全体についても、すでに一つのことが確実である。根本的な変化が続く時代に入っているということである。それらの変化は、単に経済や技術だけの変化ではない。人口の変化であり、政治の変化であり、社会の変化である。哲学の変化であり、何にもまして世界観の変化である」(『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』)

 世界観の変化とは、350年前デカルトに始まったモダン(近代合理主義)がその役割を終え、ポストモダンなるまだ名もない時代に道を譲りつつあるということである。言い換えるならば、部分最適の和が自動的に全体最適につながると無邪気に信じられていた時代が終わったということである。

 途上国、エネルギー、食糧、環境、教育、年金、医療、格差、すべて部分に分解して解決できる問題ではない。全体を命あるものとしてとらえなければならない。

 ドラッカーは、そのような大転換期において、既存の経済理論や経済政策はたいして役に立たないという。大転換期には、社会理論でさえ役に立たない。

 理論家に期待できることは、せいぜいが、この大転換期が終わってから、しかも終わって何十年もたったあとで、何が起こったのかを説明する理論を考えてくれることぐらいである。

 つまるところ、われわれは理屈ではわからない時代に入っているのである。しかも、さらにはっきりしているのは、この変化を無視して、明日も昨日と同じだと考えることこそが、最大の過ちにつながるということである。

 しかしながら、悲観することはない。ドラッカーは、その予測不能な明日において、成功への道を拓く方法はあるという。社会にもあるし、個々の企業にもある。

 それは、自ら未来をつくることである。不思議な論法というべきかもしれないが、予測不能だからこそ、自分でつくるのである。

 ドラッカーは、そのための具体的な方法まで教えてくれる。その筆頭が、すでに起こった未来を知り、それを利用しながら、自らの手で未来をつくることである。

「自ら未来をつくることにはリスクが伴う。しかし、自ら未来をつくろうとしないほうが、リスクは大きい」(『明日を支配するもの』)

週刊ダイヤモンド