テレビのワイドショーでもたびたび取り上げられる「ゴミ屋敷トラブル」だが、ゴミ屋敷の出現は戸建て住宅だけの現象ではない。同じことがマンションでも起こっている。そして実はマンションの場合、戸建て住宅以上に深刻なトラブルになることが多いのだ。そこで、実際に問題となったケースを紹介し、そのようなゴミ屋敷トラブルが起こってしまった場合の対処法と、それ以前にゴミ屋敷を出現させない予防法を紹介していきたい。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)
今やゴミ屋敷は
マンションでも増殖中
私は仕事柄、大規模修繕工事など、さまざまな場面で専有部分に入れていただく機会が多い。インテリア雑誌に出てくるような素敵なお宅や、「本当にここで人が暮らしているのか」と疑問になる程ミニマルな生活感のないお宅もあれば、小さなお子さんが主人公で散らかし放題でも微笑ましさを感じるお宅など、いろいろなお宅がある。
しかし、中には、色々なマンションや住居を見てきた私でも入るのをためらってしまうお宅に遭遇することもある。ゴミはなくても常識を超える数の犬や猫を室内飼いしていて、ペット好きでもギョッとする匂いがドアを開けた途端に鼻につく家もあった。典型的な「ゴミ屋敷」の様相で、足の踏み場もない家も結構あった。
住民が自宅マンション内にゴミ屋敷が出現したことを知るきっかけは、「異臭」や「ゴキブリ、ハエなどの害虫の異常発生」などだ。中には、上の階からの汚水の浸み出しなどという恐ろしい事態も起こる。
ある元マンション管理組合理事長は、「二度とあんな目に遭いたくはない」と言って、その体験を話してくれた。