テレビとはまったく異なる小説の世界に強い魅力を感じるという太田光氏。作品への手応えと不安、そして表現者としての矜持とは。最新小説『文明の子』執筆をめぐって真摯な思いを語り尽くす連載の第2回!
芸人仲間の小説執筆に触発されて
──小説を書こうと思ったきっかけは何ですか?
太田 もともと本が好きで、子供の頃から今に至るまで本を読むことでずいぶんと助けられたんです。本でいろんな事を想像し空想して、楽しい方向に気分転換することで救われた。だから恩返ししたいという気持ちはありますね。
それからこのところ芸人仲間の劇団ひとり、品川祐や板倉俊之とか、みんな素晴らしい小説を書いてる、僕より前に。そういうのに触発されて、俺もうかうかしてられないという気持ちになりましたね。
──この本を映画化したいなという気持ちはありますか?
太田 これがまた、映画化がなかなかしにくいものを書いちゃって。映画は映画でまた別に考えてますんで、それ用の脚本をきちんと書いていきたいですね。
──そのときはもちろん相方の田中さんを俳優として?
太田 まぁこれはね、事務所がバーターで入れろってうるさいんでね。通行人でもやらせとこうかと。
──『文明の子』は実写でなくアニメなら可能性がありそうですね?
太田 そうですね、僕の小説は本当に空想の部分が多いんで、映画でやろうとすると特撮だCGだとなかなか難しいとは思います。アニメ化は宮崎さんに是非お願いしたいですね。
──1年ぶりの小説ということですが、手応えはいかがでしょう?
太田 発売したばかりで読者の声なども届いてないのでまだわからないんですが、割といい作品ができたんじゃないか、という手応えはありますね。でも書き終わってしばらくすると不安になったりもしてね。こういうのって時間が経てば経つほど、傑作だって思ったり、駄目な作品なんじゃないかと思ったり、そんな繰り返しですよ。