エネルギー業界が、中国の予想を上回る“爆買い”に衝撃を受けている。
2017年の中国のLNG(液化天然ガス)輸入量が、前年比46%増の約3800万トンとなり、韓国を抜いて世界2位に躍り出たのだ。約8300万トンで同1位の日本とはまだ差があるものの、「近い将来、確実に抜かれる」(経済産業省幹部)とみられている。
中国政府は13年、「大気汚染防止行動計画」を策定。工場等の小型ボイラーの燃料として使われている石炭を、天然ガスへ転換する計画を打ち出していた。石炭は社会問題となっているPM2.5の元凶となっているからだ。
17年は計画の最終年に当たり、政府は8月、大気汚染のひどい北部主要都市に対して計画達成へ向けてハッパを掛けると同時に、未達だった都市の党や政府幹部は処罰すると発表。これがLNG転換を急加速させるきっかけとなった。
冬場の需要期を迎える直前だったことに加え、欧州や中央アジアから天然ガスを輸入するパイプラインでの事故が重なり、10月以降、中国内の天然ガスが一気に不足。困った中国はスポット市場でLNGを買いあさり、あっさり輸入量2位の韓国を抜いたというわけだ。