中国人が蜜月関係だったアフリカから続々帰国している理由中国で開催された「一帯一路」の国際会議で発言する習近平国家主席  Photo:新華社/アフロ

 中国とアフリカの蜜月時代が変わりつつある。

 今年9月、英フィナンシャルタイムズは「アフリカから中国人の帰国ラッシュが始まった」と報じた。中国資本によるアフリカへの「走出去(中国企業の対外進出)」と呼ばれた投資や経済活動は、一時のブームに過ぎなかったのだろうか。

 数年前、世界は中国による積極的な対アフリカ投資を「新植民地主義」だと非難した。とりわけ警戒したのは、中国のアフリカ資源外交だった。2014年、新年早々に安倍晋三首相はアフリカを歴訪したが、そこにはアフリカにおける中国の影響力に一定の“くさび”を打つ意図があった。

 中国が、アフリカで展開したのは資源外交だけではなかった。「メード・バイ・チャイナ」がアフリカの国々で瞬く間に普及。街を走るのは中国製の廉価バイク、市民生活に浸透するのは安価な中国の軽工業品、街を歩けば至る所に中国人──。中国による「走出去」の影響力は無視できないものになっていた。アフリカのマリでは、「この国のコンクリート建造物はすべて中国によるもの」と言われているほどだ。

 他方、植民地支配を経験したアフリカにとって、「真のパートナー探し」は独立後の一貫したテーマでもあった。中国の台頭とともに、「西欧からの影響を遠ざけ、むしろ手を握るべき相手は中国だ」という機運が高まっていたことは確かである。近年は「中国は敵ではない」という共通認識すら持たれるようになっていた。