米国株が過去最大の下げ幅を記録するなど、寒風が吹き荒れている株式市場。「適温相場」と呼ばれる安定した市場環境は一変し、変動の激しい展開が到来した。その引き金となったのは米長期金利の急上昇だ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
「ゴルディロックス(適温)相場は確実に終わりつつあるのでしょう」。運用会社のアセットマネジメントOneで、国内株式担当のファンドマネジャーを務める安西慎吾氏は、不安定な値動きが続く株式相場について、このように話す。
最近の相場環境を言い表す頻出用語「ゴルディロックス」。由来は英国の童話『3匹のくま』にある。少女ゴルディロックスがある日、3匹の親子熊が作ったスープを留守宅で見つけるが、最初の器は熱過ぎ、次は冷め過ぎ。三つ目に「適温」の器を見つけ、思わず飲み干してしまう物語だ。
これを元に、市場では過熱せず冷め過ぎてもいない状態を「ゴルディロックス(適温)相場」と呼ぶようになった。このところ世界的に緩やかな景気回復と低金利が併存する環境が続き、居心地のよい「適温」の中で、米国や日本の株価は上昇基調をたどってきた。
だが、そんな平和的な雰囲気は2月に入って一変する。とりわけ米国では、ダウ工業株30種平均が5日、前週末比1175.21ドル安(4.6%安)の2万4345.75ドルに急落し、史上最大の下げ幅を記録。投資家に悪寒が走るほどの恐怖心を植え付けた。
その証左のごとく、シカゴ・オプション取引所(CBOE)がS&P500を基に算出する「VIX指数」も急上昇。「恐怖指数」と呼ばれ、20を上回ると投資家の不安心理が高まった状態とされるこの指数は5日、前週末比2.2倍の37.72まで跳ね上がった。
リスク回避の売りは6日の日本市場にも波及。普段から米国株の動向に左右されやすい日経平均株価が前日比1071円84銭安(4.7%安)の2万1610円24銭と大幅安に沈んだ他、アジアや欧州などの市場にも、連鎖的な株安を巻き起こした。