ノルマ達成を絶えず意識し、売り上げの数字を上げていく部下。それは何とも頼もしい存在のはずなのだが、目の前の数字にこだわりすぎるのか、どうも伸び悩んでいる感じがしてならない。皆さんの職場でもそんなことはないだろうか。
実は成果に過度にこだわりすぎると、社員の能力開発の妨げになることが心理学で解明されているのだ。
なぜか頼りない
「成果」にこだわる部下
ITシステム会社の営業部門を統括しているA部長は、部下の育て方について頭を悩ますことが多いという。
例えば、入社3年目のB君は、
「必ずノルマを達成してみせます」
と言うのが口グセで、その都度目標達成に向けて必死に頑張っている。時にノルマに届かないこともあるが、無理かと思われる時も粘りを見せてギリギリで達成することが多く、ノルマ達成度は他の社員と比べると非常に高い方だ。
B君はどんな時もノルマ達成のためにがむしゃらに頑張り、たいていは何とか目標をクリアするのだが、上司にとってはなぜか頼れる部下という感じにならない。
成果面から見れば、非常に頼もしい存在であるはずなのに、どうも安定感がなく、力がついているようには思えず、むしろ伸び悩んでいる観がある。その証拠に、新規の案件になると、B君はまるで新人のように動揺し、営業力をなかなか発揮できないでいる。