証券業界の決算が冴えない。2011年度第3四半期決算では証券大手5社のうち、4社が赤字に沈み、黒字を確保したのは野村ホールディングスのみ。とはいえ、その野村も財務内容をつぶさに見れば、いまだ窮地の真っただ中にある。その野村より厳しいのは大和証券グループ本社である。

 2011年度第3四半期(11年10~12月期)の証券決算は、サプライズだった。

 おおかたの予想に反し、2月1日に発表された野村ホールディングスの第3四半期決算は、第2四半期の461億円の赤字から一転、178億円の黒字となったのだ。

 前日までは、大和証券グループ本社が216億円の赤字に沈み、みずほ証券が367億円の赤字となるなど大手証券は軒並み赤字決算となり、環境の厳しさを浮き彫りにしていた。

 各社とも、第2四半期より業績を悪化させており、証券業界では「野村の決算は、どこまで赤字幅が拡大するか」に注目が集まっていた。ところが、あにはからんや野村が黒字決算を発表したことで、驚きの声が上がったのだ。

 もっとも、詳細を見ると今回の黒字は一時的なものであることがわかる。300億円前後とされる外食大手すかいらーくの売却益が黒字転換に大きく貢献しているからだ。特殊要因である法人税引き下げに伴う繰延税金資産の取り崩しによるマイナス分133億円を足しても、収益はぎりぎりだ。苦境にあえいでいるのは違いない。