「あのね、私に連絡してくるときは、事実を確かめてからにしてくれない。混乱したまま、気持ちをぶつけてくるのは勘弁して」

 注意すると、唇を震わせ、泣いて謝ってくる。朝起きると、唖然とするほど長文の謝罪メールが届いている。「見捨てないでください」と書いてあった。

 許しては叱る、を何度か繰り返した後、Kちゃんはいきなりマンションを引き払い、音信不通になった。

「見捨てられたら死にます」というメールを残しての失踪だったので心配し、探し当てると、こう言い放った。

「私、響子さんが怖いんです。信じられない。もう一緒に仕事できません」

誰よりも苦しいのは本人
でもやれることには限界がある

「正直、そう言われた時、すごくホッとしたの。向こうから離れて行ってくれるなら、ありがたいと思った。だってこれ、たった1年の間の出来事なのよ。もう疲れた」

 響子さんは、すっきりした表情で笑った。

 Kちゃんが本当に「境界性パーソナリティ障害」なのかは分からない。響子さんは医師ではないし、Kちゃんは精神病院を受診してはいないからだ。

 だが、この障害について書かれた本を読むと、あてはまることだらけだったのは確かだ。