「成長企業だけ」に資金を提供しよう!

 しかし、これは、日本に投資チャンスが無いと言っているわけではありません。むしろその逆です。

 この厳しい10年、あるいは失われた20年を経て、多くの日本企業は体質を磨き、品質を磨き、サービスを磨いてきました。その結果、新たな成長軌道に乗ってきている企業がたくさん出てきていますし、今後その傾向はより鮮明になるでしょう。その結果、日本株には投資対象として非常に魅力的な企業が増えています。

 しかし、それが日経平均やTOPIXの指数の全体的な指数の上昇に結びつきづらい状況が生じています。もちろん、日経平均は20年も低迷が続いたわけですし、全体的に良い企業がたくさん出てくるのであれば、今後10年は株価指数もある程度回復する可能性もあると思います。

 でも「すごく成長企業がたくさん出てきたのに、その割に株価指数はあまり上がらなかった」となる可能性が高いのではないでしょうか。

 というのも、大企業の中に腐敗が進む企業が多く残っているため、これらの企業の株価が株価指数の足を引っ張っており、今後も当面は足を引っ張り続けることが予想されるからです。そうしたことは、この数年では日本航空、東京電力、オリンパスなどの凋落という形で表れてきましたし、今後もこうした傾向が続くでしょう。

 また、インデックス投資をするということは、その資金の多くを腐りかけた大企業の株にも注ぐということを意味します。

 私は仕事柄、日々多くの企業の実態に触れていますが、そうした経験の中で、「今、インデックス投資をするのは、本当にもったいないな」と思っています。

 こうした投資は、自分の資産運用のパフォーマンスを落とすだけでなく、応援すべきでない企業を応援してしまうことも意味します。

 株を買うことは、その企業に力を与えることにもなります。株価が上昇して時価総額が増加すれば、信用力も高まり、新規調達や事業展開しやすくなるからです。

 そうした意味で、誤った方向性に進んでいる企業を応援することは、自己資金を失うだけでなく、社会的な損失にもつながります。ですから、今の日本においてインデックス投資をすることは、投資家として罪な行為だとさえいえると思うのです。

※次回は「知っている人だけが得をする! 日本株に今、何が起こっているのか」です。

■著者紹介
藤野英人(ふじの・ひでと)
レオス・キャピタルワークス取締役・最高投資責任者(CIO)。
1966年富山県生まれ。90年早稲田卒業後、国内外の運用会社で活躍、特に中小型株および成長株の運用経験が長く、22年で延べ5000社、5500人以上の社長に取材し、抜群の成績をあげる。中でも99年には500億円⇒2800億円にまで殖やす抜群の運用成績を残し、伝説のカリスマファンドマネジャーと謳われる。
その後、2003年に独立、現会社を創業。現在は、販売会社を通さずに投資信託(ファンド)を購入するスタイルである、直販ファンドの「ひふみ投信」を運用。ファンドマネジャーとして高パフォーマンスをあげ続けている。
主な著書に『【図解】スリッパの法則 5000人の社長に会ったプロが教える! 伸びる会社vs危ない会社の見わけ方』(PHP研究所)、『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら』(阪急コミュニケーションズ)、『運用のプロが教える草食系投資』(共著:日本経済新聞社)他

ツイッター @fu4
ひふみ投信 http://123.rheos.jp/

 


この連載の内容がさらに詳しく書かれた
『日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。』 発売中!

 初心者でもベテランでも使えるノウハウ満載! 日本株ファンドで高リターンを誇る「ひふみ投信」ファンドマジャーが明かす「超成長株」の見つけ方。

さらにお勧めの厳選アクティブファンドや、リーマンショック後でも株価が50%以上になった332社も付録として掲載。今、歴史的な買い時である「日本株」を買う前に、必読の1冊です!

ご購入はこちら!⇒[Amazon.co.jp][紀伊國屋書店BookWeb] [楽天ブックス]