出向から転籍というのは、大企業の中高年社員にとって、悩ましい問題に違いない。自分のライフプランを否応なく変えられてしまうリスク。子どもの進学や、親の介護など、家庭の問題も、そこには絡んでくる。自分では隙のない仕事を続けている自信があったとしても、会社の評価と必ずしも一致するわけではない。そこに疑心暗鬼も生まれがちだ。会社に残りたい中高年社員に対して、キャリアコンサルタントは、どのように関わることができるのだろうか。今回は、悩める中高年社員の相談事例をお送りする。(構成/ダイヤモンド社人材開発編集部 間杉俊彦)
出向・転籍の危機に直面する中高年社員
長年、会社に貢献してきた中高年社員の処遇は難しいものです。飛び抜けた実績とマネジメントの能力があれば、役員への道が開かれるかもしれませんが、無論、それは社員のうち一握り。
そこまではいかなくても、中高年社員には豊富な経験があり、成功体験に基づく持論もプライドもあります。
人によっては、それはそれとしながら時代の変化にうまく対応し、自分にはないセンスや個性を持った若手社員とも協調しつつ、組織で存在感を発揮できる社員もいますが、みんながみんなそうではありません。
経験に基づく古い考えを振りかざし、変化に対応できず、業績も上がらない。若手社員には敬遠され、上司たちも扱いに困ってしまう。そんな例も、少なくはありません。
そのようなタイプは、出向・転籍の候補になる可能性が高いのかもしれません。
今回は、そんな中高年社員の事例です。