時代が変わり
転職への偏見が減った
筆者は、過去に12回転職している。最初の転職は1985年のことだったが、1980年代から1990年代の前半くらまでは、転職に対する世間のイメージは「物事が上手く行っていない人がやること」というものが多かった。
特に複数回の転職をする人に対しては、「転職を繰り返すと、勤め先のレベルが下がるので大変ですね」「今度は上手く行くといいですね」といった、同情と軽蔑が半々の反応を受けることが多かった。
潮目が変わったのは、1990年代の後半だった。山一證券や日本長期信用銀行のような、超一流ではないまでも、それなりの大企業が潰れ、多くの人材が転職市場に出るようになったことに加え、企業側も中途採用をすることもあれば、社員が転職で辞めていくようなケースにも「慣れた」ことで、転職者に対する偏見が相当程度解消した。
また、数多く転職することに対して、「有能で引く手あまたな人材だから、転職できるのですね」といった評価が語られるようにもなった。転職経験を褒められるとは、いささか面はゆい気持ちになる反応だが、同情されるよりは何倍もありがたい。