急速にWeb化が進むが
収益化が課題に

紙からWebにシフトする流れは確実に起きているものの、有料化して事業を軌道に乗せるのは非常に難しい。そんな中、秋田魁新報という地方紙の取り組みがユニークだ

 新聞や雑誌のWebメディアには、有料の紙媒体に掲載された記事がそっくりそのまま無料で転載されることが多い。筆者が毎月、記事を翻訳している海外男性誌の場合は、ほぼ全記事を一定期間後にWeb転載している。

 そして実感として、紙とWebでは反響の大きさが桁違いだ。Web記事は指先ひとつでソーシャルメディア(SNS)でのシェアができてしまうため、拡散力がまさしく別次元なのだ。

 つまり、新聞や雑誌は紙媒体の収益モデルで発行を続けていながら、実態としては急速にWebメディア化しつつあると言えるのかもしれない。しかし、どれだけ反響が大きくても、新聞や雑誌などの有料メディアと違って、無料Web記事から得られるのは基本的に広告収入だけだ。そのためか、筆者の知る限り、書き手の原稿料も紙版に対しての支払いのみで、Web転載時の加算はないことが通例のようだ。

 というわけで、紙からWebへのシフトはコンテンツの面ではかなり進んでいるものの、肝心な収益の重点をWebに移すことはわずかにしか進んでいない。けれども、企業の存立に関わるこの問題を避けて通って無料Web記事の大盤振る舞いを続ける限り、その先に待ち受けるのは確実な破綻だ。

 無料が常識となって久しいWebコンテンツにお金を払ってもらうことのハードルは高いが、日本でも成功例が出てきた。経済ニュースメディア『NewsPicks(ニューズピックス)』が、2016年12月期の決算で売上高9億5000万円に利益2000万円を計上し、起業から3年で黒字化に成功したのだ。

 ニューズピックスは独自記事の多くを有料会員限定とし、月額購読料を1500円に設定している。大手メディアが軽視しがちなIT業界やベンチャーに着目して深掘りをした独自記事が人気を呼び、有料会員が増える好循環が生まれた。

 黒字化達成を報じる17年5月の朝日新聞記事にあった、同アプリ内で寄せられたコメントを見ていくと、有料会員限定記事の読み応えもさることながら、それに的確かつ有益なコメントを寄せてくれる知識人や経営者などの「ピッカー」が揃っていることも高く評価されているようだ。