21世紀に入って久しい、今現在の日本サッカー界を否定するつもりはもちろんない。日本代表は6大会連続でワールドカップへ出場中で、週末になればヨーロッパのどこかで日本人選手が活躍するニュースが飛び込んでくる状況も、先駆者の表情を綻ばせる。

 それでも、Jリーグがある光景が当たり前になった中で、忘れてはいけないことがある。あの「ドーハの悲劇」をリアルタイムで知らないJリーガーがどんどん増えてきた中で、開幕戦のキックオフを前に万感の思いを募らせ、涙まで流した先輩選手たちがいたことを、ようやく灯したプロの炎を消滅させてはいけないと誰もが必死にプレーしていたことを知る必要がある。

 彼らの熱き思いが、まさに土台となってJリーグを支えている。心の片隅にでもいいから、Jリーグがあることへの感謝の思いを刻み込む。そのうえで見ているファンやサポーターを感動させる瞬間を、意識しながら積み重ねていくことが、選ばれてJリーガーとなった選手たちの使命となる。

「そういう初心というものに、もう一回ね。僕自身もそうですけど、みんながハングリーになってやることが大事じゃないかなと思います」

 25年前のピッチに立った選手たちの中でただ一人、今も現役としてボールを追うレジェンドだからこそ発せられるメッセージのようにも聞こえた。

 引退後を見すえて、現役の晩年から同時進行で指導者ライセンスを取得する選手たちが少なくない中で、カズにはそういった考えがいっさいない。代わりに貪欲な求道者と永遠のサッカー小僧という、対照的な素顔を同居させながら、ブラジル時代から数えて33年目のプロ人生を歩んでいる。

「やればやるほど、もっともっとサッカーをやりたいと思う。トレーニングや実戦で自分自身が思うようなプレーができないと、もっと上手くなりたいとも思う。その意味では、サッカーに対する情熱はどんどん深まっていくんじゃないかと、それは衰えることはないんじゃないかと思います」

 生身の人間である以上、いつかは現役に別れを告げる日が訪れる。もちろんカズも例外ではない。去就についてどのように考えているのかを、ずばり聞いたことがある。ヴィッセルへの移籍が決まった直後の2001年1月だった。返ってきた言葉が、またカズらしかった。

「そういった日がなるべく近づかないように、努力していきたいよね」

 不断の努力はもちろん今も続いている。たとえば恒例のグアムでの自主トレ。今回も年末年始をはさんで2度海をわたり、長いシーズンを戦うための準備を整えた。ホームのニッパツ三ツ沢球技場に松本山雅FCを迎える今シーズンの開幕戦から一夜明けた26日には、51回目の誕生日を迎える。