小室 最後に、働き方改革で苦戦している企業に向けてメッセージをお願いします。

鈴木 「人事担当として一生懸命やっているし、トップも発信しているのに、なかなか働き方改革が浸透しないし、進まない。どうしたらいいんですか?」とよく聞かれます。そのときは、「それはかわいそうですね。その企業のトップは、やっぱり本気じゃないんだと思いますよ。人事がどんなに素晴らしいことをしても進みません。トップが本気で腹落ちして主導しなければ、100パーセント動きません」とはっきり答えるんです。

働き方改革の第一歩は
トップに「腹落ち」させること

小室 ということは、人事部は社員の意識啓発のために様々な研修などを頑張るけれど、一旦そのエネルギーを、トップに真に「腹落ち」してもらうための説得に向けたほうがいいんでしょうか?

鈴木 そう思います。人事がどれだけ言っても、社長が本気でリーダーシップをとって動かない限り、中間層はトップの本気度を読んで動かない。

 経営者の中には働き方改革に対して、「国が動いているし電通もあんなことになったから、二の舞になるのは避けたいな」という程度の認識に留まっている人が、まだまだ多いのが現実です。でも逆に言えば、社長がその気になれば一気に動きます。

小室 本当にトップの本気度が重要ですね。ここ1~2年は、毎日のように企業の役員会で講演する日々です。役員会議室の重厚な空気の中で、笑顔のない全役員相手に90分の講演をすると、ストレスで胃が痛くなるのですが(笑)、そこで真に「腹落ち」をしてもらうことこそが大事ということですね。頑張ります。本日はありがとうございました!

鈴木茂晴・日本証券業協会会長×小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長【前編】を読む