「老後に備えてお金をどれくらい用意すればいいか」よりも、「自分が何をしたいか」を考えるほうが大事(写真はイメージです)

要約者レビュー

『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』
竹中平蔵&出口治明著、 224ページ、SBクリエイティブ、800円(税別)

「AIによって仕事が奪われる」「将来年金がもらえなくなる」。こうした不安を煽るような言葉を、ビジネス書やニュースで目にすることが増えて久しい。ただ、実際には、単なる商品やサービスの販売促進の文言に使われていることも多い。具体的に何をしたらいいのかが分からず、将来への不安を漠然と抱いている方もいるだろう。

 老後破産、年金崩壊、AI・IT革命、貧困、超高齢化、人口減少。本書『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』では、こうした喫緊のトピックについて、知の巨人の二人が対談し、問題の本質をあぶり出していく。著者は、日本の政策ブレーンである経済学者の竹中平蔵氏と、ビジネス界きっての教養人の出口治明氏だ。二人の提示する解決策は、本書の「川を上れ、海を渡れ」の言葉通り、歴史を遡って得た教訓と海外の事例という、古今東西の英知に裏打ちされている。問題の本質と解決策が明らかになると、読者は、情報不足によって不安をかきたてられていたことに気づくだろう。また、一見すると突飛なアイデアも、二人の手にかかれば、私たちの生活を豊かにする理にかなった方法だと合点がいく。

 年金制度の改革や社会の構造改革など、国レベルでの政策も大事だ。しかし、それよりも私たち一人ひとりが自身の人生の在り方を問うことのほうが重要だと、二人は強調している。今後のキャリアについて悩んでいる方や老後の生活に不安を抱いている方に、ぜひともお読みいただきたい一冊だ。 (岡 和明)

本書の要点

(1) 現在は技術革新に裏付けられた「革命の時代」である。ファースト・ムーバー・アドバンテージが働いており、時間との競争に負けた国は滅びてしまう。
(2) 公的年金保険は、国債の発行が可能な限り、破たんしない。「老後破産」や「下流老人」の問題は、社会保険の適用拡大によって解決できる。お金の心配をするよりも、自分は何がしたいか」が大切だ。
(3) 人生100年時代では、AI・IT化を前向きに受け止め、新しい産業を生み出すために労働を流動化させることが鍵になる。環境の変化に対応する力と、明確なビジョンを持つことが重要だ。