調査では、残業時間を事業所ごとに、1日、1週間、1ヵ月の単位で聞いている。残業時間は、1日が最も短く、1週間、1ヵ月と長くなるのが普通だ。

 ところが、ある事業所では、1日の残業時間が「45時間」なのに、1ヵ月はそれより短い「28時間」となっていた。別の事業所では、1日の残業時間が「5時間15分」、1週間が「4時間30分」、1ヵ月が「4時間」と、調査期間が長くなるごとに短くなっていた。

 1日が「2時間30分」で、1週間と1ヵ月がともに「0分」というケースもあった。

 立憲民主党の長妻昭・代表代行は「素人が見ても相当おかしい」と、厚労省に精査を要求。その結果、見つかった異常値は、87事業所で計117件にのぼった。

 厚労省の担当課は「誤記か入力ミスと考えられる」と釈明。これに対し野党は厚労省に、1万1575事業所全てのデータの確認を求めた。

 安倍首相は22日の衆院予算委で「(調査の)原票と打ち込んだデータを突合(とつごう)し、精査しなければならない」と答弁せざるを得なかった。

 26日にも、1日の残業時間が「0分」なのに1週間や1ヵ月の残業時間は計上されている異常値が新たに233件見つかり、28日にも57件が見つかった。

地下倉庫から
「ない」はずの資料が32箱

「調査の原票」を巡っても、ひと悶着が起きた。

「原票」とは、調査を担当した労働基準監督官が数値を実際に書き込んだ調査票のことを指す。厚労省がこれまで公表しているのは、原票に記された残業時間や労働時間などの数値を打ち込んだ「元データ」だけ。野党側は不適切な比較データが発覚した時点で、「原票」を全て公表するように厚労省に求めていた。

 しかし、加藤厚労相は答弁で「(原票は)なくなっている」と述べていた。それが、2月21日になって厚労省が「省の地下倉庫でみつかった」と明らかにしたのだ。

 それも、最初は「5箱」という情報が「30箱以上」に変わるなど、混乱した。