2.中国貿易の拡大

 現在の米国産原油の一番の輸出先は、なんと中国である。シェールオイルは北部山地と南部山地で産出される。これをパイプラインや列車で南部カリブ海側の積み出し港へ輸送し、そこから中国に輸出している。

 積み出し港を発ったタンカーは、当初は南米南端のマゼラン海峡を大回りして中国へ向かっていた。しかしパナマ運河の脇に第2パナマ運河が開通し、ここが使えるようになった。さらに現在も、中国資本でニカラグアに大型運河を掘っているところだ。これにより、中国は大きな恩恵を受ける(日本も恩恵を受ける可能性大)。

 いずれにせよ、以前は中国も大慶油田などで原油を生産していたが、最近では経済発展したため、原油を始め完全な資源輸入国になっている。

3.米中貿易収支の改善

 米国からの中国への原油の輸出の拡大は、米国の貿易収支を改善する可能性が高い。これはトランプ大統領の公約として掲げられてきたものだ(日本への原油の輸出が増加すれば、当然、対日貿易収支も改善することになる)。

 トランプ政権にとってみると、今年は11月に中間選挙があるために、積極的な政策展開が予想されており、この原油戦略もその一環と考えることができる。

4.原油価格の人為的引き上げ

 さらにいえば、原油戦略の効果を増すために、米国は原油価格の人為的に上昇させているのではないかと考えられなくもない。

 その典型的かつ効果的な手段は、中東情勢を「不安定化」させることだ。最近の米国の中東政策は、そうした意図を感じさせるものばかりである。エルサレムをイスラエルの首都と認定、IS後のシリア情勢の悪化への加担、シリアとの対立激化など挙げ始めるときりがない。間接的にはサウジアラビアの政変も含まれるかもしれない。

 そもそも、トランプ政権の有力な支持母体がユダヤ系勢力であることも、中東問題を刺激する一因となっている。