トランプ政権が発表した「核体制見直し」(NPR2018)は、「使えない核」を「使える核」にしようとするものだ。これからいったいどんなリスクが待っているのか 写真:ロイター/アフロ

 2月早々に発表されたトランプ政権による「核体制見直し(NPR:Nuclear Posture Review)2018」の過激な全容が見えてくるにつれて、国際社会が「核戦略」をめぐる攻防で亀裂を深めている。

 NPR2018は「核兵器のない世界」を目指したオバマ前政権からの政策転換を鮮明に打ち出している。必要に応じて核実験を再開し、低出力の小型核弾頭を開発して、通常兵器やサイバー攻撃など非核攻撃への反撃にも核兵器を使えるようにするなど、いわば「使える核」を開発し、その使い勝手をよくする狙いが見えるからだ。そのため、世界を再度、核軍拡競争へ巻き込み、核戦争への引き金を引きかねない恐れが出てきたと言われている。

 2017年にノーベル平和賞を受賞したNGO(非政府組織)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のフィン事務局長は、2月17日の講演で「世界は確実に核を使用する方向へ動いている」と危機感を募らせ、警鐘を鳴らしている。

「核なき世界」から「使える核」へ
NPRを大転換したトランプの胸の内

 オバマ前米大統領は、2009年4月のプラハ演説で、核兵器を使用した唯一の核保有国として「行動する道義的責任がある」とし、「核なき世界」を目指すと明言。国際的な支持と評価を受けて、ノーベル平和賞を受賞した。オバマ前政権が出したNPR2010では、「核実験を行わず、CTBT(包括的核実験禁止条約)の批准と発効を追求する」として「核なき世界」を目指す方針を明確に打ち出していた。

 これに対し、トランプ大統領は就任早々、オバマ政権は北朝鮮やイランなどの核開発を野放しにしてきたと厳しく批判、核政策の方針転換は必至と見られていた。2017年7月、国連では核保有国とその核の傘に依存する国と地域を除く世界122ヵ国と地域が賛成多数で核兵器禁止条約を採択したが、今回のNPR2018はこの国際的な流れに逆行して、核兵器の開発と実用の両面でハードルを一気に押し下げ、その使い勝手を使い易くする方向へ、大転換させている。