映画「三丁目の夕日」と小津作品で分かる「地域共生社会」の難しさ写真はイメージです

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。厚生労働省は現在、地域住民が支え合う「地域共生社会」を進めようとしているのですが、第6回は2005年製作の『ALWAYS三丁目の夕日』と、1959年に製作された小津安二郎監督の映画『お早よう』を通じて、その政策の難しさを考えます。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

厚労省が重要政策にする
「地域共生社会」の推進

「チイキキョウセイシャカイ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。漢字では「地域共生社会」と書き、厚生労働省が重視している政策の一つです。

 ここでは地域の繋がりを取り戻すため、押しつけではない住民主体による地域づくりとか、全ての関係者が「我がこと」と感じつつ、生活を「丸ごと」支えるケアに参加・協力する必要性などが盛り込まれており、そのコンセプト自体は天邪鬼な私もまったく反対しません。