日常生活におけるトラブルの中で、誰もが巻き込まれる可能性があり、解決も難しくなりがちなのが、「近隣トラブル」です。ときには事件化したり、法的な解決に頼らざるをえない場合も。できれば遭遇したくないものですが、そうもいかないのがこのトラブルの特徴です。弁護士の立場から、トラブルのパターンごとの解決策を検証します。(彩の街法律事務所 代表弁護士 神尾尊礼)
「ご近所トラブル」は
抜本的な解決が難しい場合が多い
いろいろな法的トラブルの中でも、近隣トラブルは特に深刻化しやすい傾向があります。
その理由としてはまず、侵害・加害の関係が、一定期間継続してしまう点が挙げられます。例えば金銭トラブルであれば、お金を回収すればそこで終わります。しかしながら、常に「迷惑な隣人」は隣りにい続けることになるため、生活しているだけで目に入ってしまうなど、日常的にストレスを感じることがあります。
また、近隣トラブルは非常に解決しにくい点が挙げられます。交通事故などはある程度定型化されており、金額も一定程度確保できるケースが多いですが、近隣トラブルの場合には、「受忍限度」の壁があり、それをクリアしても解決金の相場が安くなりがちです。そして、お金をもらっても「隣人関係」は続きますので、抜本的な解決にはならないこともあります。
このように、被害が一過性のものではなく、解決も難しいことから、法的トラブルの中でも特に深刻化しやすく、弁護士としても常に頭を悩ませる問題だといえます。