このように「報告」は、人々が何を求めているかを的確に読み取っているといえる。現在、中国共産党はインターネットなどの手段で民意を吸い上げようとしており、「報告」にはその結果が反映されているといえよう。

 また、「三大堅塁攻略戦」についても言及しているが、それも人々の生活に関わる政策だ。貧困脱却は、小康社会を完成させるために通るべき道であり、貧困地域の人々にとっては生活に直結する問題だ。弱者の救済は、社会主義政党の最重要任務であるし、2020年までに小康社会を完成させるという公約を果たせなかったら、中国共産党が人々の支持を失う恐れがあるため、軽視できない。

 重大なリスクの防止・解消で金融リスクを予防・抑制し、金融詐欺を撲滅すれば人々は安心して経済活動に従事することができる。汚染対策は、人々の生活や健康に密接に関わる問題であり、環境対策で結果を出すことは必須だ。

 人民の獲得感を強める政策は、理念としてはいいものだが、財源確保が問題となる。政府は支出を切り詰める意識を持ち、節約した資金を民生など必要な分野に回すという態度だ。

 経済政策の目的は人々の幸福を図ることであるのは、中国に限らずどこの国にも当てはまることだ。ただ、その目標の“実”には、一定の経済成長を続ける必要があり、旧来の経済運営の方法では民生を十分に保障できないため、中国は先に述べた現代化経済体系を構築しようとしているのである。

党の指導性をさらに高める
習政権の今後は

 ここまで経済政策について述べてきたが、ここからは政治について述べたい。

 全人代で公表された、中国の経済・社会の発展に関する報告である「政府活動報告」「2017年度中央・地方予算の執行状況および2018年度中央・地方予算案についての報告」「2017年度国民経済・社会発展計画の執行状況と2018年度国民経済・社会発展計画案についての報告」に、堅持すべき思想として「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想」が加わった。

 これまでは鄧小平理論、「三つの代表」重要思想から始まっていたのだが、現段階の経済建設には関係の薄い理論も書き加えられたのは、経済活動における党の指導をさらに強めることを示している。