人の体内では日々、がん細胞が生まれる。免疫細胞(T細胞)が正常に作用すれば、がん細胞は適切に排除され、健康体が守られる。

 しかし免疫が弱まったり、がん細胞が免疫にブレーキをかける“悪巧み”をしたりすると、がん細胞を異物として排除し切れないことがある。そこで免疫本来の力を回復させてがん細胞をやっつけようというのが、がん免疫療法だ。

 その一つ、免疫チェックポイント阻害剤は免疫にかかったブレーキを外すことで本来の免疫の働きを取り戻すものだ。

 ブレーキ部分は「免疫チェックポイント」と呼ばれ、ブレーキを邪魔することでがん細胞への攻撃をオフからオンにするため、「阻害剤」なのである。オプジーボは「PD-1」という分子を標的にしてブレーキを邪魔するため、抗PD-1抗体と呼ばれる。

 オプジーボが「夢のがん治療薬」と呼ばれるゆえんは、がんが進行した患者に対して効果を示していることにある。効能効果の正式名称を見ると「根治切除不能な」「切除不能な進行・再発の」「難治性の」といった冠がそれぞれのがんに付いているのはその証左だ。

 例えば肺がん患者を対象にした海外での第3相試験では、利用できる最良の治療である標準治療より死亡リスクを約4割低下させた。

 オプジーボ開発につながるPD-1の発見と機能解明の功績で、“オプジーボの生みの親”といわれている京都大学の本庶佑名誉教授は、毎年秋になるとノーベル賞候補と騒がれている。それほどまでに画期的なものだった。

 大阪の中堅製薬会社にすぎなかった小野薬品はオプジーボによって世界から注目を浴び、業績も好調。17年3月期は過去最高益を更新した。

 国内で承認された免疫チェックポイント阻害剤はオプジーボに加え、米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)の「ヤーボイ」、米メルクの「キイトルーダ」、独メルクと米ファイザーの「バベンチオ」、スイス・ロシュと中外製薬の「テセントリク」の五つ(表参照)。英アストラゼネカも承認申請中だ。