2012年に来日し、特養「きやま」で働くインドネシアの女性

 その中には、10年前に第1期生として来日し、介護福祉士の資格を取得後もずっと就労していた女性もいる。ユニット型個室特養「きやま」とサテライト特養「かわつ」のユニットリーダーとして4人の日本人職員を率いていた。

 また、介護福祉士の試験後に看護学校に通い、准看護士の資格も取得した男性も現れた。定員80人の老健「城山苑」に勤務しており、9人の看護師のなかでも看護師長の信頼が最も篤いという。

 これだけ多くの外国人がいると、勤務状況が気になるところだ。それがすこぶる評判がいいという。日本人職員だけでなく、利用者やその家族からも好感をもたれている。

「とても礼儀正しい。施設内で挨拶する時に、必ず立ち止まる。歩きながら挨拶する日本人が多い中で目を引きます」と特養の施設長、坂井恭一さん。本国の看護大学を卒業しているので、利用者の健康状態の変化をいち早く察知することもしばしばだという。

 利用者の中には「介助はぜひあの人にお願いしたい」と指名されることもある。近隣住民との関係もよく、一時帰国から戻った時などお土産を配るEPA職員もいるほどだという。

 この法人にとって、今やその人数やケアの質から考えてもEPA職員は欠かせない存在になりつつある。毎月の給与をはじめ、昇給、昇格、賞与など勤務面で日本人とまったく同等に処してきたこともあるが、早くから日本人職員に「外国人との協働」意識を培ってきたことが背景にある。

モロッコから来た移民の女性がロンドンの高齢者施設で勤務。欧州では、北アフリカや東欧からの移民が介護現場を支えている

 スタートは2002年のスウェーデンへの視察だった。同法人常務理事の永井智恵子さんがストックホルムで見たシーンがすべての源である。アフリカ系の介護者がスウェーデン人の入居者と手をつないで散歩していた。

 日本の少子高齢化の状況がより進むと、外国人の助けが必要だと分かっていたが、目の前のシーンを見て確信に変わった。帰国するや、永井さんの提案で準備にすぐ取り掛かる。まず英語教育。講師を迎えての毎夕の定時講座の他に職員の個別研修にも応じる体制を整える。外国人を迎えた時に、そのリーダーとなるようなスタッフをそろえるため、福祉系の大学や短大の新卒を3年間で68人も採用した。

 そして08年にEPA第一期生を迎えることになったわけだ。