必要になる「移民解禁」の議論

 だが、最近は希望がかなわなくなりそうだと言う。受け入れたい法人が全国的に増えてきたためだ。そこで、「これからは技能実習生を迎えては」と判断しつつある。確かに、インドネシアとフィリピンから10年も専門職を招いてきた実績は大きく、制度が異なっても、同じ国からの来訪者は受け入れやすいだろう。介護福祉士の資格を取得すれば、EPA経由の人と同じように事実上の永住ができる。

 しかも、EPA制度がいずれの国も年間300人を上限としているのに対し、技能実習生には人数制限がない。EPA制度で外国人を受け入れた各地の法人は同じような思いだろう。

 ただ、坂井さんには少し不安もある。EPA制度での来日者は看護師かその資格を認定された人だが、技能実習生にはそのレベルを要求されていない。原則として、母国で同じ仕事をしていることが入国の条件となってはいるが…。

 敬世会は特別な高齢者ケア施設だろうか。少子高齢社会の先を予見し、いち早く対応に動いた。そして10年後に多くの法人がやっと気がついて動き出した。時代が後追いしてきたのである。

 働く意欲の高い外国人がやってきて、長期間日本で家族と共に生活を続ける。極めて自然なことだ。海外では、1年間他国での生活が続けば「移民」と言われる。だが、日本政府は「移民政策はとらない」「家族同伴や転職の自由は認めない」と働く生活者を拒否し続ける。現行制度と外国人生活者との思いに乖離があるのは関係者にはよく知られていること。外国人をきちんと受け入れる「移民解禁」への議論が必要だろう。