本当は会社方言などは、わからないたびにいちいち聞いて覚えるのが一番の早道なのですが、転職者も自分は即戦力として入社しているというプライドがあります。あまりにも簡単すぎるようなことを聞いては恥という気持ちが生まれがちです。
そのため転職者は、自分はこんな簡単なことさえわからないのかという自信喪失に陥り、早期に退職してしまうなど、メンタルヘルスの問題が発生してしまうことも少なくないようです。
生え抜きに比べて、根回しに数倍の労力がかかる
会社方言と同じく、組織力学のツボを把握するのも転職者にとって非常に頭の痛い問題です。組織力学のツボとは、言い換えれば、誰に、どういう順番で、どういうタイミングで根回しするかということに他なりません。これを会得することは大変に難しいものなのです。
転職したばかりで、こうした根回しのツボを把握するのはほぼ不可能です。しかし、話はこれだけでは終わりません。誰に、どういう順番で、どういうタイミングで根回しするかということを情報として理解するだけでうまくいくわけではないからです。今度は、実際に根回ししたときに「コイツは仲間だ、信頼できる」と思ってもらえないと、なかなか先に進まないという問題があるのです。
つまり、転職者がまだ「(生え抜きのように)仲間」として認められていないため、根回しに余計な時間がかかってしまうわけです。つまり、組織文化に馴染んでしまえば、根回しの時間はかなり短縮されるはずです。
仲間になったと認めてもらうには、一定の時間をその会社の人々と一緒に過ごすことが必要です。それは日常の仕事でも、プロジェクトでも、飲み会でもいいのですが、ある一定時間の絶対量を共有しないかぎり、なかなか仲間とは認めてもらえないでしょう。つまり個人としては、根回しがうまくいくようになるまで、ある一定時間は我慢の時期が必要だということです。