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デジタルトランスフォーメーションが
「絵に描いた餅」にならぬように何をするか

大河原克行
【第170回】 2018年3月20日
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 2つめは、2018年2月からスタートしたD-Lex(デジタル・リーダーズ・エクチェンジ)と呼ぶコミュニティの設置だ。同社では、CIOを対象にしたコミュニティとして、Lexを展開してきた経緯があるが、D-Lexは、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を対象にしたコミュニティであり、デジタルトランスフォーメーションに関する課題やインサイトを共有することを目的としている。ここでは、マイクロソフト自らが行ってきた変革事例も提供することになる。

 2月に行われた第1回目のコミュニティでは、大手企業を中心に、12人のCDOが参加し、人材不足や社内文化の改革といったデジタルトランスフォーメーションを実行する上での課題を共有するものとなった。第1回目のコミュニティ開催の場合、報道関係者に内容が公開されることも多いが、「D-Lexでは、議論の内容が生々しく、ユーザー企業各社の課題が公開されることから、報道関係者への公開は行わなかった」というほど、踏み込んだ形の活発な議論が行われたようだ。

 そして、3つめの取り組みが、「デジタルマチュリティモデル」の提供になる。

 デジタルマチュリティモデルは、企業におけるデジタルを活用したビジネス活動について、成熟度レベルを把握することができるもので、マッキンゼーとの共同作業により、マイクロソフトがグローバル共通のツールとして開発した。

 マイクロソフトが、デジタルトランスフォーメーションの4つの主要領域と位置づける「お客様とつながる」「社員にパワーを」「業務を最適化」「製品を変革」の観点から、合計で71項目の設問を用意。これに回答することで、企業における成熟度レベルを4段階で評価でき、これをもとに、デジタルトランスフォーメーションを実行する上での課題を浮き彫りにすることができる。

 ここでは国内の大手企業2000社を対象にアンケートを収集しており、これをベンチマークとして比較。自らのポジションを把握することもできる。

 なお、同調査によると、71項目の全体集計で、成熟度レベルが「遅れている」企業は44%、「適応中」が24%となり、成熟に満たない企業が7割近くを占めている。

 「情報通信/インフラや小売などの業種を中心に、お客様とつながるといったことへの取り組みは進んでいるが、製品の改革につなげることでの遅れが目立つ。また、全体的に運輸業での取り組みが遅れている」などとした。

 デジタルマチュリティモデルによって、デジタルトランスフォーメーションに取り組む上で、自らのポジションを客観的に把握することができることから、この活用は、最初の一歩として重要なことだといえるだろう。

 一方で、日本マイクロソフトでは、米本社の開発チームと連携して、コーディングレベルの技術支援を行う「HackFest」を実施。ここでは、ビジネスを知る顧客と要素技術を知るマイクロソフトの本社開発チームとが連携し、2日間に渡ってひとつの部屋にこもり、アイデアを出すだけでなく、コーディングまで行ってアイデアを形にすることまで行われ、デジタルトランスフォーメーションの実行を支援している。ここでは、AIやIoTなどの最新技術が活用されることになるという。

 また、パートナー企業が持つ100を超えるテジタルトランスフォーメーションに関する業界別ソリューションを、顧客とマッチングさせるためのイベントを開催。デジタルトランスフォーメーションを行いたいが、なにをしたらいいのかわからないという企業の課題を、具体的なソリューションとして提案することで解決するという。

 日本マイクロソフトの丸谷本部長は、「デジタルトランスフォーメーションの実行には、適切なパートナーを持つことが大切であり、アイデアを形にするためのアイディエーションが重要な鍵になる。まずは多くの企業が、社員にパワーを与える働き方改革からデジタルトランスフォーメーションを実行してきたり、顧客接点の強化といった、顧客とつながることに対する取り組みが先行してきた。だが、今後は、新たなサービスや製品の創出といった点での活用が想定される。日本マイクロソフトとしても、その点での支援体制を強化したい」とする。

 デジタルトランスフォーメーションの実行は、適切なパートナーを見つけることが、掛け声だけに終わらないための最初の一歩になるといえる。

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