事情を説明すると、自分のクラスでは協力が得られたが、他のクラスでは協力してもらえなかった。

 体育会系の部活動が盛んで、汗臭さを消すために制汗スプレーを使う生徒が多いのだ。防塵マスクを着けて通学していたが、症状はさらに悪化し、いまはほぼ休学の状態だ。

 大学進学をめざし環境のよいところを探しているが、見つかるだろうか、と不安がよぎる。

教師も“被害者”に
生徒に近づけず、退職

 埼玉県の市に住む臨時教員ヒカルさん(仮名、40歳代の女性)は、3年前、あるマンションへの引っ越ししたのが原因で、SHSと思われる体調不良になった。

 転居するとややおさまったので、勤めを続けてきたが、一昨年6月に勤務し始めた都立の特別支援学校で、強い柔軟剤臭のする生徒たちに接すると、症状が出て指導するのが難しくなった。

 1クラス5~6人しかいないが、生徒の着替えやトイレ介助などで体を密着することが多い。校外歩行で一斉に虫よけスプレーをかけられるのが、耐えられない。勤務1ヵ月で、右股関節が激痛で2日間歩けなくなるようなことも起きた。

 MCSになったようだと管理職に訴え、生徒たちと接触しない仕事に変えてもらったが、間もなく同僚の教員の柔軟剤や整髪剤にも反応するようになり、更衣室にも職員室にもいられなくなった。

 昨年2月に東京の専門クリニックでMCSの診断を受けたころには、食べたり歩いたりする力さえなくなり、任期を2週間残して退職した。