しかし、下手に復興事業に関わり稼いでしまうと、失業手当の支給が止まってしまうから働くと損だと考えてしまう。社会保障の仕組みが、被災者たちをそういう思考に陥らせてしまっている。

 地元の復興のために仕事をしたいと思っているのに損だから働かない、というストレスを感じている。その捌け口としてパチンコに行くのだ。

センターの役割は情報の記録と議論
住民と行政の調整役を担う

――「うつくしまふくしま未来支援センター」は、どのように復興に関わっていくのか。

 センターでは「地域復興担当」「産業復興支援担当」など、9つの担当分野に分けて、福島大学の教員とスタッフが兼務をして、2011年8月に活動を開始した。この3月から専任スタッフも採用し、活動を本格化させる。

 今、力を入れているのは、詳細な汚染マップの作成だ。地域復興と産業復興を進めるには詳細な汚染マップが必須だ。まず福島県伊達市で100メートルメッシュの汚染マップを作った。もともと伊達市が作った汚染マップは1キロメートルメッシュだったが、それでは不十分だと考えている。

 昨年10月、福島県は米を作付けした48市町村1174地点で放射性物質の抽出検査をした上で、大丈夫だということで安全宣言を出した。しかし、その後、県内産の米から、国の暫定基準値(1キログラムあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出される事態が相次いだ。

 汚染度合いは、1メートル移動すればまったく違ってくる。もしかしたら、われわれの行なっている100メートルメッシュでも不十分かもしれない。

――その調査結果を、どのように活用するのか。一般に公表するのか。

 地域住民に公表するのは調査方法通りの100メートルメッシュだが、田んぼ一枚一枚、所有者だけに知らせる方法も採っている。そうすることで、地域住民の不安も取り除ける。実際に、どこからどこが危ないということが明確になることで、怖がって避難する人たちが減った。

 来年、作付けするのかということについて、今迷っている農家が多い。その判断材料になれば良いと思っている。基本的には、私たちはいくつかの農家を集めて、調査結果を基に意見交換をしている。実際の決断は農家にゆだねるしかない。