森友学園問題の本質は「保守系の団体」の
政治・行政への強い影響力の広がりではないか

 まず、「ナショナリズム」の問題を考える。国会が森友学園問題で紛糾する間に、新たな問題が発覚した。自民党の赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員が複数回に渡って文科省初等中等教育局に電話をし、天下りあっせん問題による引責辞任や「出会い系バーの利用」の問題があった前川喜平・前文部科学事務次官が名古屋市内の中学校で講師を務めた授業の内容や経緯を照会した。文科省は、照会に基づき、名古屋市教育委員会に授業の内容の報告や録音データの提供を求めていた。

 赤池氏、池田氏は文科省に経緯を照会していたことを認めた上で、「法令違反をした人が教壇に立っていいのか事実確認した。文科省への圧力には当たらない」と説明した。一方、文科省幹部は「問い合わせたのは省としての判断だ」と説明している。

 赤池氏、池田氏は、「日本会議国会議員懇談会」と「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーである。メディアの報道は、直接的ではないものの、教育行政に対して政治家の背後にいる「保守系の団体」の政治的介入が頻繁に行われていることを暗に匂わせている。

 昨年2月に森友学園問題が明らかになった当初、その教育や運営の異様な実態が注目されたものだった。籠池泰典森友学園理事長は、「日本会議」(第144回)のメンバーであり、同学園系列の幼稚園は、明治天皇の名で教育理念などを規定した「教育勅語」を暗唱させる教育方針で知られた。新たに設立しようとした小学校は「日本で初めてで唯一の神道の小学校」を謳っていた(第153回)。

 そして、この問題に関して、次々と地方議員や国会議員の名前が浮上すると、彼らに対する日本会議など「保守系の団体」の影響力の強さが指摘されていた。だが、籠池理事長の政治家への接触が、合法的な「陳情」の範囲内の行為で、政治家は単に「役所の担当者につないだ」というだけであることが判明していくと、次第に世間の焦点は、「安倍夫妻の関与」「財務省の忖度」に集中するようになった(第152回)。そして、「保守系の団体の政治・行政への異様な影響力」という話は、どこかに消え去ってしまったのだ。