学校法人「森友学園」への大阪府豊中市内の国有地売却を巡る問題と安倍晋三首相、昭恵夫人の関係が、国会で問題となっている。学園が取得した国有地の売却額が同じ規模の近隣国有地の10分の1であること、学園が開設予定の小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任していたこと、学園が「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金を集めていたことなどが次々と明らかになり、野党は「総理の威光を背に色々なことを進めてきたのではないか」と追及の構えを見せている。

森友学園への国有地売却問題は
次第に安倍首相を追い込んでいる

 安倍首相は、24日の衆院予算委員会で、昭恵氏が名誉校長を妻が辞任したことや、自らの名を使った学園の寄付金集めに抗議したことを説明した。しかし、疑惑を払拭できていない。その1週間前の17日には、昭恵氏の名誉校長就任について「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と説明していた。首相の答弁は一変しており、野党から皮肉られている。

 むしろ、安倍政権が同学園の寄付集めや小学校認可を後押ししているかのような印象を強める事実が、次々と出てきている。昭恵氏が講演会で「こちらの教育方針は大変、主人も素晴らしいと思っている。(卒園後)公立小学校の教育を受けると、せっかく芯ができたものが揺らいでしまう」と語っていた映像が出てきた。また、稲田朋美防衛相が同学園理事長の籠池泰典氏に「長年にわたり自衛隊の部隊との交流等を通じて防衛基盤の育成と自衛隊員の士気高揚に貢献された」として昨年10月、防衛相感謝状を贈っていたことも、明らかになった。

 更に、同学園の教育や運営の異様な実態が明らかになってきた。同学園理事長の籠池氏は、憲法改正を後押しする「日本会議」のメンバーである(第144回)。同学園系列の幼稚園は、明治天皇の名で教育理念などを規定した「教育勅語」を暗唱させる教育方針で知られてきた。そして、新たに設立される小学校は「日本で初めてで唯一の神道の小学校」を謳っている。

 もちろん、日本全国に宗教関連の学校は多数ある。例えば、甲子園で活躍する知名度の高い人気校もある。宗教関連の学校の存在は日本社会に認知されており、神道に基づく教育を行う学校があること自体は、さほど問題視することではないだろう。この幼稚園の問題は、外国人に対する差別的な言動で保護者らとトラブルを起こしていたことだ。同園に対する誹謗中傷があったとして「投稿者は、巧妙に潜り込んだ韓国・中華人民共和国人等の元不良保護者であることがわかりました」という声明文をウェブページに掲載していたというのだ。