課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

「定例会議」にかける議題を最少化する

「最高品質の会議」を実現するためには、意思決定スピードを可能な限り上げる必要があります。意思決定の回数を増やして、PDCAサイクルを最速で回すことによって、チームの生産性を最大化させるのです(詳しくは連載第4回参照)。

 そのために大切なのは、チーム内で行われる会議を適切にデザインすることです。会議室にメンバー全員が集まって議論することだけが会議ではありません。部下が報連相をしに来たときのやりとりや、部下とマネジャーの1on1の議論、少人数で集まって議論やブレストをするミーティングも、何らかの意思決定に向けて行う会議と考えるべきです(下図参照)。そして、マネジャーはそれら多様な会議全体を上手にマネジメントすることによって、最速の意思決定スピードを実現していく必要があるのです。

三流上司はひとりで悩み、二流上司はなんでも「定例会議」にかけ、一流上司は「○○」を頻繁に行う。

 そのときに留意すべきなのは、定例会議にかけるコストを最小化することです。なぜなら、定期的にメンバー全員が集まる定例会議は、人件費が最も多くかかる“高コスト会議”だからです(定例会議にかかるコストは連載第2回参照)。この定例会議にいくつもの議題が提案されると、必然的に長時間の会議にならざるをえず、コストはさらに高くつきますから、議題の数そのものを絞り込む必要があるのです。

 しかも、定例会議は通常「週1回のペース」で開催されるため、タイムロスが生じやすいという“弱み”をもっています。意思決定スピードを上げるためにも、定例会議以外の会議を活性化させることによって、必要なときに即座に意思決定できるようにする必要があるのです。