メジャーでは当たり前の予告先発
日本ではパ・リーグがまず導入
今季からセ・リーグでも予告先発制度が導入されることが話題を集めている。
メジャーリーグ(MLB)では試合の数日前に誰が先発登板するかを発表するのが通例だ。先発投手陣は固定されているし、ローテーションもきっちり守られている。誰が先発するかを明らかにするのは当たり前のことであり、「予告先発制度」に該当する言葉もない。英字紙によるMLBの予告先発についての説明は「policy of announcing starting pitchers in advance」。MLBで先発を公表するのは制度というよりポリシーなのだ。
ところが日本では長年、先発投手は試合直前のメンバー発表まで明らかにされてこなかった。一応、先発の頭数は揃えておりローテーションもあるが、監督はそのうえで相手チームとの相性などを考えて先発投手を決める。時には思いがけない投手を先発起用。その意外性に相手打線が苦しみ勝ちでもすれば、采配の妙として褒め称えられた。
相手の先発が読めない時は出場予定のない選手(主に投手)を偵察要員として打線に組み込み、相手の先発に合わせて相性の良さそうな打者を代打として起用することもあった。投手陣も先発する投手を悟られないよう複数が先発の調整をするといった手の込んだ演技も要求された。
そうした両軍の読み合い、腹の探り合いを含めて楽しむのが日本のプロ野球だった。手の内を明かして真っ向勝負をするのがMLBだとすれば、勝利を目指して戦略を駆使するのがNPB。いかにも日本らしい緻密で繊細な感性が先発投手を直前まで明かさないという慣例を生んだといえるし、ファンにも支持されてきた。
その流れを変えたのがパ・リーグだ。85年のシーズンから毎週日曜日の試合に限り先発投手を事前に発表するようになった。目的はファンの関心を集め、観客動員につなげるため。その期待に応えようと各チームは日曜日にはエース級を起用した。