その10年後の94年からは全試合、予告先発を行うようになる。日曜日+エース級先発で予告先発日の営業成績がまずまずだったこともあるが、この制度を生んだのはパ・リーグ各球団のファンサービスに対する熱意である。一般のファンが球場に足を運べる回数は多くない。コアなファンを除けば1シーズンに2~3回といったところだろう。その大事な試合にエース級が先発すればいいが、名前を聞いたこともないような投手が出てくればガックリだ。その点、予告先発制度があれば、試合を選ぶ判断基準になる。予告先発が観戦満足の担保になるのだ。

 それから19年が経ち、ついにセ・リーグがパ・リーグに追従。予告先発制度を導入することになった。これは大きな球界変革といっていいだろう。

導入の背景に
パ・リーグの成功

 人気面でセ・リーグの後塵を拝してきたパ・リーグはさまざまな制度改革を行ってきた。2シーズン制や指名打者制などである。それをセ・リーグサイドは冷ややかに見てきた。ドル箱の巨人戦があったからだが、パ・リーグの改革に歩調を合わせようとは決してしなかった。2005年にスタートしたセ・パ交流戦でも、セ・リーグの反対で予告先発は行われなかったのが、それを表わしている。

 だが、ここへきて流れが変わりつつある。昨シーズンのホームゲームの観客動員1位は阪神、2位・巨人、4位・中日とセのチームが上位を占めるが、3位に福岡ソフトバンク、5位に北海道日本ハムが浮上。地域密着の営業手法で観客動員を順調に伸ばしている。

 加えてパ・リーグでは予告先発でお客を呼べる投手が数多く育った。日本ハムではダルビッシュ、斎藤佑樹、ソフトバンク・和田毅、杉内俊哉、東北楽天・岩隈久志、田中将大、埼玉西武・湧井秀章、千葉ロッテ・成瀬義久らだ。このうちダルビッシュと和田と岩隈はメジャーへ、杉内は巨人に移籍したが、活きの良い投手はパ・リーグに集中している。

 これはドラフトのくじ運でアマチュアの好投手が軒並みパ・リーグに行った側面もある。だが、予告先発の効果もあるのではないだろうか。先発投手は観衆の数で自分の価値を知るわけだ。大観衆は自分を見るために球場に来ている。そのファンを決して失望させる投球は見せられないという自覚が生まれ、ファンに支持される投手に育つのだ。