――立地自治体の事情とは、具体的にどういうことか。

 原発立地の自治体は、みんな貧しい地域ですよ。大熊町は気候も良くて、住みやすい町だが、農業が中心だから、やはり冬場はみんな都会へ出稼ぎに出ていた。冬になればお父さんは家を出て行かなければならない。家族がバラバラになってしまうんですよ。でも、原発がくれば、冬場に出稼ぎに行かなくて済む。農業と違って安定した収入が得られる仕事に就けるかもしれないし、立派な学校で教育を受けられるかもしれない。町には補助金が入り豊かになる。原子力は未来のエネルギーだと言われていた。

単独での原発ナシの地域振興計画は
福島県浜通り地区全体で考えることだ

――福島県内の原発廃炉の方針が決定されたことは、最終的に大熊町に原発に頼らない町に生まれ変われということだ。

 県内の原発廃炉については当然だと思うが、それを決める前にもう少し、立地自治体の意見を聞いてほしかったというのが本音だ。

 今後、廃炉についての研究開発施設を双葉郡に誘致したり、放射線を専門にした医療施設や教育機関をつくったりする発想がある。しかし、双葉8町村のそれぞれが声を上げても、インパクトは弱い。県や浜通り全体でどうするかを考えるべきだろう。

「中間貯蔵は必要。でもウチの町はごめんだ」
無責任な主張や意見が多い

――中間貯蔵施設については、双葉郡8町村の首長の間でも意見が割れている。政府との話し合いもなかなか進んでいない。

 双葉町長の井戸川さんの意見もわかるが、国と話して、地元の意見をぶつけなければならない。第一回目の会議はキャンセルになってしまったが、あれは大事な会議だった。

 しかし、これまでの1年間ずっとそうだが、地元に対しての説明が不十分なうちに新聞やテレビで我々の町の行く末がどんどん発表されている。テレビや新聞で初めて知ることが多い。マスコミはそれが仕事だからある程度仕方ないにしても、これじゃあ国との信頼関係は構築できない。国はわざとマスコミに情報を流して、われわれの出方や反応を観察しているんじゃないかと、穿った見方をしてしまう。どんどん既成事実がつくられて、われわれの思いなどまったく無視された結論に至るのではないかと心配している。